大阪京大クラブ3月定期例会参加(6回目)報告
掲題会が下記の要領にて開催されました。
記
日時:平成21年3月10日17:30~20:00
場所:中央電気倶楽部
出席者:新入会員が約20名も増え、90余名の参加があった(前回は約70名)。関西東大会からは3名が参加。
講演会:新入会員の紹介等と食事会の後、京都大学経済研究所若杉隆平教授(石川県出身、東京大学経済学部1971年卒業)が“世界不況下の国際貿易”と題して講演。
<講演要旨>
1. サブプライムローン問題後の世界不況
2. 金融政策・財政政策
3. 主要国の景気対策
4. 国際貿易への影響
5. 保護貿易化への懸念
6. 貿易政策の課題
7. 長期的視点に立った政策
1.2007年から2010年までの世界各国の経済成長率(前年比)の実数と見通しにつき説明。
①世界経済成長率(前年比)が2007年の5.2%から2010年のマイナス0.8%に下落の見通しであり、時がたつほど見通し見直しの数字は悪くなっている。
②先進国の中では金融ダメージが欧米に比べ少なかった日本は意外にも英国に次いで悪い。
2.①欧米日の政策金利:2006年から2007年にかけて米国では5%以上であった(欧と日はこれよりも低く、我が国にいたっては0.5%にも達していなかった)のが、ここにきて急激に対応し今や日本と同レベルに近づいてきている。
②金融安定化策の構造:ひとつは政府などによる融資・損失保証・出資と併行しての不良資産買い取りであり、もう一つは貸し渋り対策である。後者については、米国ではFRBが投資家に融資し、投資家は金融機関に資金を提供し、その見返りに資産担保証券を入手、金融機関は個人と企業に融資し、その見返りに融資債権を確保する。
3.①米国:金融安定化のため、7000億ドル(64.4兆円)の公的資金枠と環境分野の雇用創出と高速道路網整備などの公共投資に7870億ドル(72.4兆円)。
②英国:200億ポンド(2.6兆円)の付加価値税の減税、公共投資。
③日本:事業規模11.5兆円の高齢者の医療費負担軽減、中小企業の資金繰り支援。事業規模27兆円の定額給付金、高速道路料金下げ、自治体の雇用創出。事業規模37兆円の雇用保険料下げ、住宅ローン減税拡充、中小企業の法人税率下げ。
4.①輸出減、国内需要減、そして輸入減と負のスパイラルとなっている。
②世界各国からの買主であった米国の輸入減が大きく、やはり米国の経済回復が最も期待されるが、回復後の米国は政策転換を図り、嘗ての買主のようにはあまり期待できないだろう。
③世界貿易量の前年対比の実数と見通しは2007年から2010年までで各々7.2%、4.1%、マイナス4.8%、マイナス2.5%となっている。
5.自国の生産を護るため、各国は関税率引き上げ(インド、ロシア)を実施したり、輸入制限(インドネシア、アルゼンチン)を図ったりしているが、更に懸念されるのは、“隠れた保護主義”と呼ばれる国内産業への補助金・融資や(米国、EU,カナダ、スウェーデン、フランス)、バイアメイカン政策などの拡大である。
6.①1930年代の世界恐慌下の誤った対応策から得られる教訓を参考に解決策を模索すべきである
②保護主義化への歯止め策として、WTOの監視機能の強化、ドーハ・ラウンドへの積極的取組(我が国の積極的役割が期待される)。
③貿易拡大への金融支援が国際機関の積極的融資、貿易保険のネットワーク拡大、そして透明性・公正性の維持の下、実施されるべきである。
7.①短期的政策依存から舵を切り替え長期的な市場機能依存に向かうべきである。つまり、イノベーションによる経済成長軌道への探求が待たれる。
②世界需要に柔軟に対応するイノベーション(米国市場は貯蓄投資バランスの是正へ、新興国市場の内需シフト)
③金融・自由貿易などの市場ルールの整備
④国内のセーフティネットの整備(教育・介護など社会インフラへの賢明なる投資、持続可能な医療・介護・社会保障制度)
代表幹事 白井 俊和(昭47農)

