大阪京大クラブ7月例会の講演会参加報告
関西東大会代表幹事 白井俊和(昭47農)
下記の要領にて掲題講演会が開催され、菊池代表幹事と共に参加しました。
記
日時:平成21年7月10日(金)
場所:中央電気倶楽部
講師:富田直秀教授(医療工学の専門家、工学部と医学部を卒業)
演題:医療技術開発におけるモノとコトのしくみ
≪要約≫
(冒頭、教授は「分かりにくい内容であるかも知れないです。」と一言おっしゃいましたが、そのとおりで、一部の話を除き難解で、小生きちんと内容を咀嚼し切れたとは申せませんので、悪しからずご了解いただけましたら幸いです。)
◎モノとコトのしくみを無視して開発を行うと膨大な無駄と災いが生じる。
◎相同性(対称性?)を利用して設計すると共に多様性の中で育てることが大事。個別対応、オーダーメイドが必要。(例として眼鏡を挙げて説明、右目と左目のレンズや枠は異なって当たり前。)
◎日本における生体材料開発費の計測は難しい。日本の医療開発の特徴として
①リスク計算が出来ない②審査に時間と手間がかかる、があるから。
◎効率化は技術の要であるが、安易な効率化は、イキモノや社会の多様性を破壊する。
◎無駄な医療が慣習化していないだろうか?日本の医療開発は“黄金の茶室(夢の治療法)”を作ろうとしているのではないか?何故なら①研究者は研究費獲得のために説明し②企業は社会性よりも利潤を優先し③病院に行くとすぐに検査・治療を行うからである。
◎「社会に貢献した報酬として利益がある(松下幸之助)」を引用しつつ、日本は世界・社会に「ものつくり文化(町屋建築、新幹線システム、部品、・・・)」で貢献し、その対価として報酬を得るべきである。
◎現在の日本の医療技術開発ではモノとコトのしくみ(文化)が理解されないまま、莫大な資金が投じられている。
◎医者が治療する場合、患者が家族であるか赤の他人であるかによって、治療法が異なっているのが現状であり、これは問題である。
≪詳細≫(落ち穂拾い)
○(モノとコトの定義)
モノ:名詞的、実体、ハードウェア、reality
コト:動詞的、function、ソフト、actuality
○薬剤開発について:5,000~10,000の発見物質が前臨床実験・臨床実験を経て250・5と絞られていき、FDA審査で遂に一つに絞られる。この間10年~20年を要することあり。
○人工関節の分野では日本は世界の最先端を行く。
○真に価値のある医療機器技術の選択が必要であるが、それはQOL(quality of life)効用値による経済社会評価により決定される。
○なぜ、有用な医療技術の実用化が困難なのか?効果とリスクの少ない技術は実用化され易い傾向がある。これは、モノとコトの仕組みを考慮した医療文化が医療技術に生かされていないからである。
○2:8の法則(パレートの法則)について:仕事の8割は2割のメンバーによってなされている。働き者であるこの2割を分離し、様子を見ると再び2:8の役割分担が構成される。生物や社会はモノと異なり管理は難しい。
○企業から見た日本の医療開発の特徴:①リスク計算が出来ない②審査に時間と手間がかかる。
以上

