大阪京大クラブ11月定期例会(食事会・講演会)参加報告
幹事 日笠 賢(昭55経)
掲題会が下記の要領にて開催され、白井代表幹事、菊池代表幹事、沖野事務局長とともに出席して参りましたので、報告します。
記
日 時:2009年11月10日(火) 17:30 ~
場 所:(社)中央電気倶楽部3階食堂
講 演:西村 周三氏(京都大学理事・副学長:右写真)
演 題:「医療・介護保障と医療・介護産業」
出席者:約80名(関西東大会からは4名が参加)
【例会の進行】
鈴木会長のご挨拶の後、家木裕隆副会長から7月の皆既日食観測航海の報告や、山内潤三副会長の「思い出の志賀のやまなみ」完成のご案内などが続き、初参加の領木新一郎顧問(大阪ガス相談役)や新入会員の方のご挨拶がありました。わが関西東大会からは、沖野事務局長が、東大と京大の同窓会相互が交流することの意義や御礼を申し上げるとともに、関西東大会12月例会が、当中央電気倶楽部で、京大名誉教授である佐野哲郎先生の講演を行なうので、大阪京大クラブのメンバーにも是非ご参加願いたい旨、勧誘されました。
引き続き食事会となり、そのあと講演会が行なわれました。
【講演会: 西村周三 副学長】
(内容)
西村副学長は、京都大学に7人いる副学長のお一人で、副学長になられて3年半が経過し、今年、国際交流担当から教育担当に変わられた由です。ご専門は医療経済学で、東大でも一時期ご勤務された経験をお持ちですが、現在の副学長の立場で東大と京大のことに触れられ、「今年の七帝戦では、慣行を破り主管校の東大に勝って優勝。東大・京大総合対抗戦でも勝利が目前。」と、冒頭から大変“緊迫感の高まる!!”お話を切り出されました。
本論の医療と介護の現状については、多岐にわたるお話を展開されましたが、私なりに、要点を整理すると、以下のようになります。
・ 医療費の増大が世界の趨勢となる中、日本の医療費の対GDP比率は、OCEDを構成する30ヵ国中で21位、G7の中では最低の水準に抑えられている。
・ 高齢化が医療費増加の要因のように思われているが、事実は異なっており、G7諸国の内で高齢化率の最も高い日本が、対GDP比率で最も低いのが実情である。
・ 医療費が増加している主要因は、高齢化ではなく、実際は医療産業の技術進歩にある。
・ 資本主義的医療の象徴であるアメリカの医療費は、既にGDP比率でも日本の約2倍で、2015年には実額で日本の40兆円に対し、4兆ドル≒10倍規模にもなる予想である。
・ かつては、日本の医療費の単価がアメリカより高かったが、日本のここ10年の医療費抑制策により、日本の単価の方が低い状況になっている。
・ 高度な手術等の無形の立派な技術には、きちんとした対価を支払うべきである。
・ アメリカでは、5人に1人が医療関連で働いているのに対して、日本では12~13人に1人という程度である。
・ 医療部門の拡大による産業関連波及効果、経済波及効果は、実は、公共事業より遥かに高く、雇用誘発効果が大きい。
・ また同時に、地域経済の疲弊に対する改善効果、地方の雇用の活性化効果が大きいが、多くの都道府県では、産業としての医療・福祉の発想が欠如している。
・ 介護も、現場の労働は大変な状況で、1年未満で離職するものが後を絶たず、まだまだ一層の改善が望まれる。
(感想他)
・ 個人的には、以前2年ほど、総合病院と介護施設を運営する医療法人の経営に関わった経験があり、今回のお話は、当時感じていたことを、データを交えて実証・説明していただく良い機会となりました。
・ 講演のところどころで、講師から、個人個人の『死生観』を問われる場面がありました。
・ 自分では「ピンピンコロリ」を理想とし、延命装置等の利用は拒否する気でも、家族の立場になると、現実の判断は簡単ではなくなる状況が予想されます。
・ また一方で、京大出身で現在東大教授をされている上野千鶴子教授の「おひとりさまの老後」や「男おひとりさま道」が丁度いま、話題を集めていますが、自分のこととして、冷静に自分自身の『死生観』を養っていく必要性をあらためて感じた次第です。
・ 冬至まで、『メメント・モリ』(「自分がいつか必ず死ぬことを忘れるな」)を想う最適な季節です。
以上


