大阪京大クラブ5月例会(講演会・見学会・懇親会)参加報告

幹事 日笠 賢(昭55経)

掲題会が下記の要領にて開催され、白井代表幹事、菊池代表幹事、沖野事務局長とともに出席して参りましたので、報告します。

日 時:2010年5月12日(水) 13:00 ~ 17:00        
場 所:京都大学時計台記念館国際交流ホール
講 演:塩瀬 隆之氏(京都大学総合博物館准教授)     
演 題:「アナログ世代の言葉がデジタル世代に届かない理由」
見学会:京都大学総合博物館
出席者:約60名(関西東大会からは4名が参加)

【例会の進行】
鈴木会長のご挨拶の後、大学から大西理事が挨拶に立たれ、同窓会の重要性や緊密な連携の強化について、熱心にお話されました。続いて気鋭の塩瀬准教授の下記講演会があり、塩瀬准教授のご案内で、京都大学総合博物館で開催中の企画展「科学技術Xの謎」を見学しました。その後、全員で時計台記念館国際交流ホールに戻り、懇親会が行われました。
【講演会】
塩瀬准教授は1972年生まれの37歳。京都大学総合博物館では唯一の工学部系学者です。自らが団塊ジュニア世代に属するためか、少子高齢化がもたらす日本の社会構造の変革とものづくり技能の伝承に関心が高く、講演は、様々な情報がアナログからデジタルの時代になる中で、生じている混乱や誤りを豊富な事例や検証を通じて丁寧に説明するとともに、団塊の世代が再雇用や雇用延長で未だ現役でいるうちに、人材育成をしっかりとしておく必要性を鋭く説く内容でした。
「インターネットやイントラネットの整備で情報の共有化が加速すると思われたものが、逆に必要な内容が伝わらなくたっている」実態や、「マニュアル化(可視化)で誰もが技能を得られると思ったものが、逆に大切な部分が抜け落ちて失敗している」こと、身近な所では「デジタルカメラの普及で撮影枚数は1桁増えながら、パソコン内に大量保存のまま思い出を共有できなくなっている」状況など、デジタルへの過信を警告するお話は、大変分かりやすく共感できるものでした。今時の、『ググ(Google)ってコピペ』を当たり前に自分のレポートとし、実物に触れないまま頭の中だけで分かったつもりになり、同じ言葉で全く違うイメージを描く世代に対して、大事なことを根気良く伝えて欲しいという先生のメッセージは、とても重いものに感じます。「師は黙して語らず」ということや、食住を通じ価値観を共有する「賄い」制度など、徒弟制度的なものの再評価を含め、技術伝承の方法が、今、問われているのかもしれません。
【見学会】
京都大学総合博物館は、開館10年目の一般に公開された博物館です。文化史系と自然史系の展示が99%を占める中、1%の技術史系代表の塩瀬准教授が、今年の企画展「科学技術Xの謎=X線ってなんだろう?」を取り仕切られています。展示は、X線の歴史や馴染みのある医学分野
にとどまらず、考古学、天文学、文化財や水質の分析、酵素やタンパク質の構造解明など大変多岐にわたり、極めて興味深いものです。たまたま当日の朝刊で100年前に英国調査団から京都大学に寄贈されたミイラが、X線で2千年前のトキであったことが判明したとの記事があり、その展示を丁寧な解説付きで見せていただいて、とても充実した一日になりました。

以上