大阪京大クラブ2011年5月見学例会(講演会・見学会・懇親会)参加報告
幹事 日笠 賢(昭55経)
掲題会が下記の要領にて開催され、菊池代表幹事とともに出席して参りましたので、報告します。
日 時:2011年5月14日(土) 13:00 ~ 18:30
場 所:京都大学時計台記念館国際交流ホール
及び 京都大学医学部附属病院
講 演:稲垣 暢也氏(京都大学医学部附属病院 副病院長)
(京都大学大学院医学研究科糖尿病・栄養内科学 教授)

演 題:「健康に長生きするために」
見学会:京都大学医学部附属病院
出席者:65名(関西東大会からは2名が参加)
【例会の進行】
鈴木会長のご挨拶の後、大学側から大西理事・副学長が挨拶に立たれ、大学の近況、昨秋の楽友会館のリニューアルオープン等のお話に加えて、3・11大震災以降の対策本部立上げ、京大病院の医師の派遣、備蓄食料等の提供、学生ボランティアの現地への派遣、心のケアのためのカウンセリング室の無料開放等、さまざまな対応をされた旨のお話がありました。
続いて糖尿病がご専門の稲垣教授の下記講演会があり、その稲垣教授・副病院長のご案内で、京都大学医学部附属病院を見学しました。その後、再び時計台記念館国際交流ホールに戻り、懇親会が行われました。(例会の模様は、既に京都大学のホームページにも掲載をされています。http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2011/110514_1.htm)
【講演会】
稲垣教授は1958年生まれで、現在京都大学医学部附属病院の副病院長です。糖尿病・栄養内科学がご専門で、NHKの番組「今日の健康」でも、専門医としてスタジオでよく質問にお答えになっておられますので、お顔を見られた方も多いと思います。話題豊富で、またたいへん分かりやすいお話をされますし、今回の演題の「健康に長生きするために」も、参加者構成を意識された時宜にかなうテーマで、時間の経つのも忘れて、内容に聞き入るものでした。講演内容全てを報告できませんので、要点のみ記載します。
・日本人の平均寿命は、江戸時代(20歳代後半~30歳)、明治13年(男36歳、女38歳)、大正12年-14年(男42.1歳、女43.2歳)、昭和22年(男50.1歳、女54.0歳)、昭和25年(男58.0歳、女61.5歳:この時点で先進国中の最下位)、昭和34年(男65.2歳、女69.8歳)、・・・・・平成17年(男78.6歳、女85.6歳)、そして先日新聞に載ったWHO発表(平成21年データ 男80歳、女86歳)のように大変順調に伸びてきた。
・日本人がどこまで長生きできるかに関しては、2025年時点(男80.95歳、女89.22歳)、及び2050年時点(男104歳、女108歳)の予測データがある。
・今は単なる「平均寿命」から、健康で長生きしてこその「健康寿命」が問われている。
・健康寿命を保つには、血管を大切にすることが大切で、以下の事柄が重要になる。
① 脂質異常(特にコレステロールの増加)を予防する
② 高血圧を予防する
③ 糖尿病を予防する
④ 肥満を予防する
⑤ 禁煙する
・糖尿病は、血管の病気である。
・古くは平安時代に藤原道長が糖尿病になり、最後には失明したことが読み取れる。
・日本の糖尿病患者は、現在急増中である。(1999年:糖尿病患者690万人+予備軍680万人= 1370万人 ⇒ 2007年:糖尿病患者890万人+予備軍1320万人= 2210万人)
・中国でも糖尿病患者増加が大問題になってきている。(糖尿病患者9千万人、予備軍2億人)
・急増の脅威から、糖尿病はエイズに次いで国連総会で採択されて(2006年)、11月14日が「世界糖尿病デー」に制定された。
・糖尿病になると、合併症になり易く、寿命が10歳以上も短くなる。
・日本人は体質的にインスリンの分泌が弱く、アメリカ人の半分しか出ない。このために肥満の度合いがアメリカ人に比べて極めて少ないにもかかわらず、糖尿病の割合が大変に高くなっている。(人口比では、日本人が世界で最も糖尿病が多い。)
・ハワイやロスアンゼルスの日系人の糖尿病比率は、同地域のアメリカ人の2倍以上ある。
・戦後、日本人の食事の欧米化で、脂肪と砂糖の取り過ぎの悪影響を受け易くなっている。
・脂肪にはうまみ成分が含まれるために、おいしいと感じさせるが、獣肉由来の脂は血糖値を上昇させ、動脈硬化を誘発する。
・日本人は獣肉摂取という体質に合わない食事から、だしの味を大切にした「一汁三菜」の日本の食文化を見直すべき時に来ている。
・食事療法の両輪は、「規律を守る」ことと「楽しみを得ること」である。
・養生訓にある「腹八分目」が大切。
・また笑うことで、血糖を抑えられることも分かって来ている。
・一に食事、二に運動!
・歩くことがとても良い。一日男性9200歩以上、女性8300歩以上を歩くのが望ましい。
・いかに生きるかと、いかに死ぬかは背中合わせである。
・健康に生きることの50%以上は、自分に責任がある。
【見学会】
京都大学医学部附属病院では、2010年竣工の「積貞棟」(=せきていとう=寄付者の山内 溥任天堂相談役が命名された由)を中心に、がん治療のための最先端の放射線照射装置や、診療科横断の集学的がん治療病床、4台の先端MRI、ゆったりとした外来化学療法ゾーンなど、さまざまな高度先進医療施設を見学し、あちこちで感嘆の声が上がっていました。
また、食事を加熱調理後に急速冷却して冷蔵保存し、提供直前にカートで急速過熱をするという「クックチルシステム」や、専用バス・トイレ・キッチンに加えて応接室と付添者の専用控室・キッチン・トイレ完備の、一泊12万円の特別病室には、驚きを通り越すものがありました。機会が無ければ知りえないような、素晴らしい最先端医療の現場を見せていただいて、とても充実した一日になりました。
以上

