第8回東大ワールドカフェ関西 実施報告
第8回東大ワールドカフェ関西が、下記の通り開催されましたので報告します。
日時:平成26年2月22日(土)13:00~18:00
場所:大阪府教育会館 たかつガーデン
出席者:22名
主催:関西東大会 協賛:東京大学卒業生室
キーノートスピーチ 13:00~14:10
テーマ:「今の日本に必要なこと ~禅僧の視点から~」
講師:臨済宗 大本山 妙心寺塔頭 退蔵院 副住職 松山 大耕 氏
経歴
昭和53年 京都市生まれ
平成15年 東京大学大学院農学生命科学研究科修了
平成18年 退蔵院副住職 就任
平成20年 G8サミットシェルパ会議 エクスカーションを受入れ@退蔵院
平成21年 政府観光庁Yokoso! Japan大使(現・Visit Japan 大使)任命
平成23年 京都市「京都観光おもてなし大使」任命
平成23年 ヴァチカンにて前ローマ教皇に謁見
平成25年 諸宗教間交流駅伝InterFaithマラソン@ルクセンブルクに参加(ダライ・ラマ14世ご後援)
・ 近年の取り組みについて
日本の禅の代表としてローマ教皇に謁見。現在は死に直面することのリスクこそ低いが、生きることはいつの世も大変で、宗教は必要である。昨年、『世界宗教者マラソン』に参加し、宗教間の融和の必要性を感じ、今年の2月、京都マラソンに併設して、『Inter Faith 日本駅伝~祈りの駅伝~』を企画・実行した。今春、ダボス会議2014では仏教界の代表として、東大寺 北河原公敬 長老と参加した。

・ ダボス会議と欧州で活躍する日本人を訪ねて
ダボス会議2014では、今回、安倍首相が参加されるということで、現地での日本の注目度はかなり高かった。また今回の会議で世界中の特に20代後半から30代の人が、日本の仏教に期待していると感じた。
・ 会議は、オープンセッション、プライベートセッション、バイナリーミーティングに分かれている。
・ アフリカ要人とのプライベートミーティングでは、豊富な資源や市場の成長性を求めて、アフリカを目指す国は多いが、儲からなきゃ終わりといった支援が多い。参加されていた緒方貞子さんは、Human security の支援が大切と強調された。日本政府が経済協力だけではない、長期的かつ国や地域を跨いだ支援が、アフリカ諸国から非常に高い評価を得ているということが印象的だった。
・ 現在、日中間の緊張を高めている原因の一つに、中国政府による尖閣諸島の領有権の主張があるが、同時に二国間には、1,300年前に鑑真和上を我が国に迎えた長い交流もある。だから短期的な視点で二国間の関係を捉えてはならない。仏教や宗教、文化交流でブレークスルーできるのではないか。
・ また会議に参加していたMITメディアラボ所長 伊藤譲一先生とは、宗教者と科学者との対話が大切であると同時に宗教と最新科学は同じであるという点で意見が一致した。意識では間違っていることも無意識では間違えないという先生の研究は、実践を大切にしている禅に通じている。禅の老師も同じ体験をすることと無意識の意識が大切としている。またダライラマも宗教者と科学者の対話が重要だとしている。
・ 各国は自国のPRのためにレセプションを開く。毎年一番人気は、食事も飲み物も大変おいしいというJapan Nightである。外務省には、このレセプションの予算を削減しようという動きもあるが、これをケチってはならない。
・ ダボス会議の後、欧州を舞台に世界で活躍する日本の先輩方に、世代や国境を越えて認められるには何が必要なのか尋ねて回った。
・ ニースでレストランをし、日本人ながらミシュランの星を獲得したシェフ松嶋 啓介氏、サグラダ・ファミリアで主任彫刻家として活躍している外尾 悦郎氏、バルセロナの松久シェフ、FCバルセロナの下部組織でアジア人初の白石監督など、活躍している方々である。
・ また海外で活躍する日本人女性も多い。フィレンツェの洋菓子屋のチョコレート職人、サグラダ・ファミリアの外尾氏のもとで門を作っている職人、ミラノのアンブロジアナ図書館で極東研究の責任者を務めている方、スカラ座のオーケストラでヴァイオリンをひいていた方、パリにわたって女優をされている方も、日本人女性だった。
・ 世界で活躍する日本人に共通することは、日本を嫌いになって出て行ったのではなく、本場で自分の実力を試すために挑戦しているということだ。だから、彼らの日本に対する愛情、思いが言葉からひしひしと伝わってきた。
・ ミラノでは、Cattolica Sacro Cuore 大学にて、Prof. Cruzio と Massimoさん、またアンブロジアナ図書館・絵画館にて、カトリックのBuzzi司教と対談をした。また同館館長には館内をご案内していただき、2,000年の歴史があるイタリアと日本には共通点があると言われた。それは他国には絶対真似できない歴史があるということだった。これからは長期的視座に基づいた信仰・宗教と経営が必要である。
・ 縁あって妙心寺と退蔵院を案内したミラノ・スカラ座のオペラのパフォーマーの招待を受け、オペラとバレエの鑑賞をした。ミラノのスカラ座では禅がちょっとしたブームになっている。イタリアの伝統芸能を担う彼らに禅のレクチャーができたことはとても意味のあることだった。日本文化とイタリア文化の根本的なところが融合するというのは、将来、計り知れない影響力を持つ可能性がある。
・ パリでは、大学の先輩にご招待いただき、日本の伝統工芸品をパリで販売、紹介されている方やパリで一流のアンティークを扱っている方々をご紹介いただいた。日本の伝統工芸品は大変良質であるが、そのままでは、普及し難い。日本のものにその国の要素を加えて新しい価値を見出すというカスタマイズが必要だ。また国内の伝統工芸は産地間で競うより、日本の伝統工芸のクォリテイの高さを海外と比較するといった視点で訴えていくことが大切である。
・ 最後にパリ郊外にある幼~高一貫のカトリック系の名門校で、13歳の子供達200人あまりに仏教と禅の話をした。同校はカトリックの宗教教育を中心に据えながらも、人種や宗教を超えた普遍性を身につけて欲しいと、さまざまな宗教者を招いて、それぞれの宗教について授業をしている。仏教とキリスト教の相違点、日本仏教と他国の仏教の違い、禅とはどういうものなのか、について話をしたが、子供たちの様子は、熱心に聞き、元気よく質問をした。こういった経験を積ませることにより、多様性を身に着けることができると思っている。
・ 国内では判らないが、海外における日本の評価は高い。飲食、文学、サッカー、工芸など様々な分野で、しかも文化の深いところで日本の若い人が活躍している。
質問に対する応答要旨
日本のオリジナリティに対して近い国は、アジアだ。アジアには、学ぼうとする姿勢がある。工芸のセンスも似ている。
日本人と正反対であるが、日本の文化を理解できるという点では、禅の参加者で一番多いユダヤ人である。ユダヤ民族は負けの民族で、2,000年以上、負け続けてきた。そのため、強いアイデンティティを持っている。一方、日本人は海外でアイデンティティを保つのは難しい。ユダヤ教は完璧な律法主義である。体験を尊び、しなやかな禅とユダヤ教は、正反対である。
日本人も仏教を信仰している人は減っているが、心がある限り、宗教は無くならない。昔は死後に興味があったが、今は現在に興味を求めている。毎年、退蔵院に3万人の子供が来る。見通しは暗くない。葬式、法事などの仏事から、今の人たちが求めていることを提案していくことが大切である。
ワールドカフェ 14:20~16:00
ワールドカフェでは、次の三つのテーマについて意見を交換しました。
①これからの日本は国際社会の中でどのようにリーダーシップを発揮していくのか?
②リーダーシップにおいて道徳はどのような役割を果たしているか?
③日本人の道徳心は高いのか?人生において道徳は重要か?

懇親会 16:00~18:00
大阪府教育会館 たかつガーデン1階 「慶招楼」にて、お店のご厚意もあり、盛りだくさんのお食事で、世代を超えて親睦を深めました。
今回のワールドカフェは、関西東大会の北会長にもお越しいただきました。参加者の年齢は25~85歳と幅広く、ワールドカフェの会話の内容も豊かで大変楽しいものとなりました。今後も皆さまに楽しんでいただけるよう努めて参りますので、遠慮なくご意見やご要望をお伝えください。そして多くの皆さまがご参加くださいますようお願い申し上げます。

