大阪京大クラブ(平成21年)5月例会等参加報告
掲題会が京大宇治キャンパスで下記の要領にて催され(5月11日、13:00~18:00)、沖野事務局長と共に参加しましたので報告します。
記
1.例会
2.講演会
講師:京大防災研究所附属流域災害研究センター長・教授 戸田 圭一氏
演題:「都市水害とその備え」
3.見学会
①エネルギー理工学研究所
②生存圏研究所
③防災研究所
④材鑑調査室
4.懇親会
いつもながらの盛況で今回も約70名の参加があり、この点については関西東大会としても参考にしたいものです。
さて、ここでは紙数の関係から講演会と見学会に絞って、更に小生が興味を持って聴き、見たものに限定して記してみたいと思います。
◎講演会「都市水害とその備え」
○気候変動・ヒートアイランド現象の影響で全国各地の大都市で短時間に激しい雨が降る傾向にある。このような降雨は“ゲリラ豪雨”と称され、予測が大変難しい。例えば2008年8月29日未明に、愛知県岡崎市で時間雨量147mmという強烈な豪雨が発生した。このような激しい集中豪雨によって、都市河川では短時間で二種類の氾濫(外水氾濫:河川溢れ、堤防決壊、内水氾濫:市街地での降雨を上手く排水出来ずに起こる)が惹起されている。
○地下への浸水:地下街に雨水が浸入すると急激に水深が上昇し、避難が極めて困難となる。避難実験によれば地上の水深が30cmの時に階段に水が流入してくる辺りが成人の避難限界である。
○都市水害の予測:模型を使ったシミュレーションやコンピューター分析により、京都市内地下街に雨水が流入の際に如何なる状況となるかの予測が可能となっている。それにより、過去にあった水害時の雨水の状況を再現し、災害対策がなされている現在ではどうなるかが分かり、災害対策の効果を把握することが出来る。また、相変わらず対策が脆弱な地区も浮かび上がってくる。
○水害防止・軽減策:①生命の保護②個人財産の保護③都市機能の確保のためにハード的対策(止水板の設置、河道整備、下水道整備、地上・地下の貯留施設の設置、避難経路図・避難指示機器の設置、非常用電源の確保など)とソフト的対策(シミュレーション解析、情報伝達システム・避難システムの整備など)が講じられる。
◎見学会
○高温プラズマ物性研究室、宇宙太陽光発電実験棟・マイクロ波送受電実験棟、
防災研究所(特に地震対応)、材鑑調査室を時間の関係で足早に訪問し説明を受けた。
○高温プラズマ物性研究室:高温プラズマの物性研究に特化しており、核融合実験は手掛けていない。この規模の研究設備なら米国では2倍の員数の研究者が従事しており、その点我が国では遅れている。
○宇宙太陽光発電:1兆円の予算で、20年後に重量1万トンの人工衛星(太陽光発電所となる)を打ち上げ、100万kw/h(原発1基分)を発電し、マイクロ波にして地上に送電する。30年間運用できれば現在の電気代で電力を供給することが出来る計算である。
〈筆者註〉
・宇宙太陽光発電は、宇宙空間に浮かぶ太陽光発電衛星と地上の受信局によって行う。太陽光により発電した電力をマイクロ波またはレーザー光に変換して地上の受信局(砂漠または海上に設置)に送り、地上で電力に変換する。
地球上と宇宙空間での太陽光発電効率を比較すると、約10倍宇宙の方が有利といわれる。雲・雨などの影響がなく昼夜の別が無いため、24時間365日にわたって利用できるからである。
・長所と短所:①長所:(上記のとおり)従来の方法に比較し、発電量が多い、環境汚染を引き起こさない、資源の枯渇のおそれがない、②短所:間違って受電設備以外にマイクロ波やレーザー光が照射された場合甚大な被害が起きる(但し、地上に照射されるエネルギー密度を自然物に影響のないレベルに下げる技術はある)、渡り鳥の生態への悪影響の懸念、大気への影響が不明
○材鑑調査室:①著名な古建築の部材を系統的に収集し、樹種・樹齢・産地などの分析を行っているのが特徴である②各種樹種の標本管理も併せ実施している。

