大阪京大クラブ 平成22年11月例会 参加報告

幹事 日笠 賢(昭55経)

掲題会が下記の通り開催され、沖野事務局長とともに参加して来ましたので、報告します。

日 時:2010年11月10日(水) 17:30~19:30
場 所:(社)中央電気倶楽部3階食堂
講 演:伊藤 公雄 氏(京都大学大学院 文学研究科 教授)
演 題:「高齢社会と男性の自立-2012年を前にして-」
出席者:約70名(関西東大会から今回は2名が参加)

【例会】
鈴木会長が風邪でご欠席のため、家木副会長から現状の会員数(加入2名、退会8名で、会員数は276名)や、10月8日に初めて開催した懇話会の報告、11月13日の京都大学のホームカミングデイ(2008年ノーベル物理学賞受賞の小林 誠先生の講演会や、「小惑星探査機はやぶさ」の川口淳一郎教授の講演会等)への参加呼びかけがありました。その後に、食事会と講演会に移りました。
【講演会: 伊藤 公雄 先生】
今回は社会学の分野からで、参加者の圧倒的多数である「高齢」「男性」がテーマでした。伊藤先生は、もともと全体主義体制下の文化とメディア研究からスタートされ、イタリア・ファシズム下の文化研究などを経て、「男性学」研究へと研究領域を移して来られています。
そして現在では、内閣府の男女共同参画会議基本問題調査専門委員会委員として男女共同参画政策の策定にもかかわられています。講演の要約は以下の通りです。
1.男性学・男性性の研究戦後のフェミニズムの波を受けて1970年代に「女性学」が登場、発展し、学術的に大きな転換と成果をもたらした。それまで「人間一般」を代表しているとされてきた男性や男性性を「もうひとつのジェンダー」として、「平和構築と男性性」等のテーマで捉え返すことが、「男性学」の出発点になった。
2.戦後日本における男性の生き方
戦後の日本では、男性の生き方がそれまでの農業や自営業中心から他人に雇用される社会に変わり、三世代同居が核家族社会になる一方、高度経済成長を支える団塊世代を中心とした男性の長時間労働や出稼ぎ・単身赴任等で、働き盛りすなわち子育て期間の男性が、家庭から姿を消してしまうという状況が生まれてきた。またこのことは、それまで世界でトップクラスにあった日本の女性労働すなわち女性の社会参加を大きく抑制してしまうという結果を生じさせた。(その反動として「女性を社会へ!」「女性にもっと仕事を!」というウーマンリブ運動もあった。)
3.男性問題の浮上と家族・夫婦関係のゆらぎ
1970年代、80年代に国際化した女性問題への対応で、女性の社会参画を進めるための男性の意識改革や生活スタイルの変更が求められた。同時に経済成長の鈍化で、男性の長時間労働や過労死、中高年男性の自殺の急激な増加などが顕在化・深刻化し、1990年代以降は今度は「男性問題」の時代になった。男性の側からの「生きにくさ」が発見されるとともに、定年離婚や濡れ落ち葉族、夫在宅ストレス症候群など、家族・夫婦間のディスコミュニケーションが表面化することとなった。
4.少子高齢化社会を前にして
団塊世代の60歳定年で年金受給等さまざまな社会問題が生じると思われた2007年問題は、雇用延長等先延ばしすることで顕在化を回避することとなったが、次に団塊世代が65歳となる2012年問題がいま囁かれている。高齢者が過労死すれば年金が助かるというのは悪い冗談。人類が未経験の高齢社会へ突入することが、今、日本では目前に迫ってきている。あなたにとって「ほっとする相手」は誰ですか?という質問をすると、女性が「配偶者」とする答えがどの世代も概ね60%であるのに対して、男性が「配偶者」と答える割合は、30代60%、40代70%、50代80%と上がり、60代では87%となっている。男性は年齢を重ねるほどに妻に依存する傾向が見られる。妻に先立たれた夫の平均余命は3 年で、夫が先に亡くなった妻の平均余命は15 年という統計がある。妻に先立たれた夫のうち約7割は3年以内に後を追うが、夫が亡くなると多くの残された妻は元気になるといわれている。また高齢になってもいつまでも、在職当時の肩書きで自己紹介する男性が目立つ。「仕事の顔」以外の「顔」を持たない成人男性が多い。男性の自立のためには複数の顔を持つのが良い。高齢男性は一人になったときに生き残れるのか、自問自答してみる必要があると思われる。(6.の「資料」ご参照)
5.男女のコミュニケーションのすれ違い
男女一緒に会議をすると、男性からは「おしゃべりばかりで話が進まない」となり、女性からは、「すぐに結論ばかり求めたがって他人の気持ちに配慮できない」となる。用件のみになりがちな男性のコミュニケーションに対して、気持ちの確認が重視される女性のコミュニケーションという違いがある。用件のみの男のコミュニケーションは男性を不幸にし、自らを生きにくくするものと心得ることである。「高齢」「男性」が、「つまらないことでも聴く力」を身につけ、「いばらず、甘えず」、自立して生きていかれることを望む。
6.資料
最後に、ご参考として伊藤先生からの資料「男性自立度チェック表」を転記します。男性は自分のことを、女性は身近な男性のことを、ちょっとチェックしてください。基本テクニック編
1. 電気掃除機を使うことができる
2. ご飯を炊くことができる
3. ボタンつけができる
4. 仕事関連以外の親しい(現在もよくつきあう)友人が複数いる
5. 役所への諸届けはひととおりできる
6. 自分の飲むお茶は基本的に自分でいれる
7. 一人で夕食の材料をそろえることができる
8. よく一人でスーパーに買い物に行く
9. 収集日にはよくゴミを捨てに行く
10. 自分の背広・ネクタイ・靴下・下着がどこにあるかわかる
11. テキストなしで作れる料理が8種類以上ある
12. 週に5回以上、食後の後かたづけをする
13. トイレの掃除をすることがよくある
14. 外で堂々と洗濯物が干せる
15. 自分のワイシャツによく自分でアイロンをかける
16. 自分の服は基本的に自分で買う
17. 地域で今話題になっていることをひとつ以上あげることができる
18. 自治会などの回覧は必ず読む
19. 自分なりの趣味をもっている
20. 会うとあいさつする地域の知り合いが10人以上いる
先生いわく、この表の最大の要点は、「俺はできるぞ」などといばったり、競争をしたりしないことだそうです。男は、直ぐに点数比較や他人との競争に持ち込むからだそうです。