大阪京大クラブ 京町屋見学会(座談会・見学会・懇親会)参加報告
幹事 日笠 賢(昭55経)
大阪京大クラブの並木幹事様からお誘いをいただき、京都の夏が最高潮となる『祇園祭』の『宵々山』(7月15日)の日に、大阪京大クラブ会員で、京町屋友の会の会長でもある松村篤之介様のお宅に伺い、今に残る貴重な京町屋の松村邸を見学させていただきました。
大阪京大クラブからは、並木様に加えて工学部の松久寛教授と中村様、中谷様の4名が、関西東大会からは、白井代表幹事、沖野事務局長と久武幹事、日笠の4名が参加しました。松村邸は、祇園祭で現在32基ある山鉾のひとつ『浄妙山』の「飾り席」にもなっており、お祭りの御神体や壮麗な懸装品、見事なお道具類をじっくり拝見できる、またとない機会になりました。

松村邸 1階での座談会

松村邸 2階床の間 参加者が「網代」に座して
【松村邸と京町屋】
松村邸は、松村篤之介様のお父様がご出身地の富山から出てこられて、京都でご奉公されていた明治41年ころに、吉井家の普請で3年の歳月をかけて造られた総二階の建物です。普請中から既に世間の注目を集めていたといわれるような大変素晴らしい京町屋ですが、事情があって戦後に売り出された時に、松村様のお父様がご購入され、大がかりな修理をされたうえで、松村様が今もご家族のお住まいとしてお使いになられています。
毎年6月1日にお家の中の建具や敷物を冬のしつらえからすっかり夏姿に替えられるそうで、9月一杯までは「よし障子」「御簾」「網代」「籐莚」に代表される大変風情のある姿にされています。綺麗に手入れをされた坪庭から「よし障子」や「簾」を通してさわやかに風が吹き抜け、70年間使い込まれた飴色の「網代」や「籐莚」が足元を涼しく冷やし、それら全てが築後100年の建物に馴染んで、日本の伝統的な住まいが如何に美しいか、声も出ないような感激を味わせていただきました。お茶室や床の間にさりげなく飾られたお花や掛け軸などからも、四季のある日本で季節を織り込んで住む素晴らしさを、改めてお教えいただけたように思います。模様替えは大変な重労働のようですし、京町屋の住まいの維持自体が大変なコストのかかるものだと想像しますが、素晴らしい日本の伝統様式の美しさを、是非末永く保存していっていただきたいと強く感じました。

松村邸 夏姿の「よし障子」「籐莚」

松村邸 夏の坪庭 「御簾」と「よし障子」
【祇園祭のこと】
京都三大祭のひとつで、日本三大祭のひとつにも数えられる祇園祭は、八坂神社(祇園社)の祭礼で、7月1日の吉符入りに始まり、宵山、山鉾巡行等の諸祭行事を経て、7月31日の疫神社夏越祭で終わるお祭りです。京都は7月1ヶ月の間祇園祭に明け暮れるとも言われるようです。今回、松村様からお伺いしたお話で印象に残ったことを抜粋して書くと、
・祇園祭は、平安時代に始まり1000年を超える歴史を持つお祭りで、元々は諸国の悪霊を祓い、穢れを除くことを起源とするものであるため、東日本大震災の起きた今年は、その意味でも大変意義深いと思われること。
・『浄妙山』は、源頼正が宇治川の合戦で平家と戦った際、三井寺僧兵の筒井浄妙が橋桁を渡り一番乗りをしようとしたところ、一来法師がその頭上を越えて先陣を取ってしまった瞬間をとらえているもので、五条大橋の弁慶と牛若丸の物語とは全く別物であること。
・昭和30年代は、汲取りで関係のあった嵯峨野の農家が山や鉾の担ぎ手になっていたが、今は汲取りも無くなり、山や鉾は下に車を入れ、スカートをはかせて動かしていること。
・昭和41年までは山鉾巡行は17日の「前祭(さきの祭り)」と24日の「後祭(あとの祭り)」に分かれており、回り方も今とは違うものだったが、3年後を目処にこの「後祭」を復活させて、元の姿に戻すことが今検討されていること。

松村邸前に置かれた『浄妙山』

松村邸 『浄妙山』の御神体や懸装品やお道具類
【縁起物と散策】
・松村邸を辞す際には、松村様より縁起物として、「浄妙山」の厄除粽(やくよけちまき)=玄関等の出入口の上に飾れば災難が入ってこないという言い伝えがあるとのこと=や、その浄妙山厄除粽をかたどった粽ストラップ、宇治川の合戦での筒井浄妙と一来法師の先陣争いを描いた鈴木松年筆「宇治川先陣争屏風図」(浄妙山保存会所蔵)を写した団扇など、祇園祭の記念となる嬉しいお土産をいただきました。
・その後、山鉾町の通りに美しく飾られている「山」や「鉾」を眺めながら、参加者8名でそぞろ歩きをしました。「コンチキチン」に代表される鉦や、笛、太鼓のお囃子に加えて、雅な京訛りの少女たちが声を合わせて独特の節をつけた、「厄除けのお守りは今明晩ばかり。常は出ません。ご信心のおん方様は受けてお帰りなされましょう。」などと、厄除粽や団扇を売る声を楽しみながら、ゆったり散策をしました。暮れるにつれて大変な人出になりましたが、賑わう宵々山は全てが深く印象に残りました。
【懇親会】
懇親会は、祇園祭の雰囲気と180度趣向を換えて、「フィゲラス」というスペイン料理店で行いました。カヴァやサングリア、赤白ワインを飲み放題で飲みながら、次々に出てくるトルティージャやタパス、ハモンセラーノなどの料理に舌鼓を打ち、尽きることの無い話が続いて、関西東大会と大阪京大クラブとの絆が更に更に深まるのを実感した一日になりました。
以上

