三鷹国際研修寮(三鷹国際学生宿舎)の必要性について

平成10法 井 垣 太 介
弁護士/ニューヨーク州弁護士 (Taisuke Igaki)
北浜法律事務所・外国法共同事業(Kitahama Partners)

 

  
本年の1月から始まったNHKの大河ドラマ「龍馬伝」が好評を博しているようです。個性ある役者の演技を通して幕末の動乱期にタイムトリップするのが毎週末の恒例行事となっている方も多いのではないでしょうか。時代は変わり、今や、日本が開国した1850年代後半とは比較にならないレベルで世界各国が貿易と国際資本移動で結ばれ、WTOやG20の存在や各種条約が保護主義や資本移動管理に対する防壁となって、グローバリゼーションを促進しています。内需の弱い国は輸出に助けられる反面、今回の経済危機のように、一国の経済が良くも悪くも地球全体の景気に影響を及ぼすまでになりました。地球規模の障壁なきマーケットに巻き込まれた日本が如何にして生き残るか、龍馬の目には、そこまで見えていたでしょうか。
 
モノづくり立国のイメージが強い日本ですが、製造業はGDPの2割を占めるに過ぎず、実に7割がサービス業によってもたらされています。そして、製造業については、既にグローバルな価格競争に巻き込まれている日本ですが、サービス業については、日本語という強力な言語障壁もあって、海外からの輸入も海外のサービス企業による直接投資も限定されています。しかし、今後の日本においては、英語が今以上に普及することによって、サービス業についても国際競争に晒され、その生産性を如何にして高めるかという問題に直面することになると思われます。そして、それが世界経済の中で日本が生き残れるかという問題に対する答えになるのではないでしょうか。
 
 
世界経済の中で生き残れる日本を作るのは、これから世界へ打って出る日本の若者です。人種のるつぼとなっている米国や、国境を越えた交流が盛んなEU諸国、欧米に留学して最先端の技術やビジネスを学ぶことに貪欲なアジア諸国の若者と比較して、ともすれば同じ日本人同士で集まり日本語のみでコミュニケーションをすれば事足りる日本の学生が、語学力、討論・交渉力、リーダーシップ、多様な意見の調整力などにおいて世界の若者に劣っているとすれば、それは然るべき環境を整備できていない我々大人の責任でもあります。
 
 
大学生活は、全人教育の場であるべきであり、学業のみならず、人格形成面においても真剣勝負の場でなければなりません。しかしながら、人格形成は、教室の外の部活動やキャンパスの外での様々な人々との接触、切磋琢磨によって行われると言っても過言ではないでしょう。斯様な人格陶冶の色々な場のひとつとして、私達は留学生を含む学生たちに「同じ釜の飯を食う」寮生活の機会を与えたいと考えています。若者に、寮生活の経験を通して家族から独立する機会を与え、多様な価値観やバックグラウンドを持つ人たちと一緒に暮らすことで、他人を理解しながら自らのアイデンティティをも確立するプロセスを経験させたいと願っているのです。寮生に海外からの留学生が含まれていれば、吸収力のある若者は、自然に、語学力、討論・交渉力を磨き、リーダーシップや協調性も身に付けていくことができます。寮は、学生が寝食を共にすることによって、学生同士の交流・コミュニケーションを盛んにし、世界に通用するトータルの人間力を育てるもう一つの大学になるのです。
 
 
我々は、核家族化が完全に浸透し、インターネットが普及したことなどによって、人格的交流の場が減りつつある日本の現状を直視し、もう一度、日々の生活の場で学ぶことの大切さを思い出す必要があります。我々は、リーダーシップやコミュニケーション能力といった無形の資質を若者に得させる方法を、もう一度真剣に考える必要があります。真剣勝負をしないと人は育ちません。若者が世界へ打って出るには、日本に居るときから外国人との交流を経験しておく必要があります。この点で、先輩、後輩、海外からの留学生と同居し、生活の場で真剣勝負ができる国際研修寮の意義は計り知れません。
 
 
東京大学においては留学生が3000人在籍しているのに対し、海外留学している東京大学の学生はわずか300人に過ぎません。東京大学濱田総長が「タフな学生を育てたい」と言われる所以でもあります。かかる現実を踏まえて、東京大学は、語学力と討論・交渉力を含めた全的人間力を身に付けたタフな学生を育てる必要があると考え、三鷹国際学生宿舎に新棟(三鷹国際研修寮)を建設して、学生に、生活の場における国際的な真剣勝負の機会を提供することを計画しています。
 
 
他方、今春の日本経済新聞の記事によりますと、首都を含む他の地域に先駆けて関西企業が海外企業の買収を加速させています。歴史的に、関西は世界と密接につながり、ビジネス面においても関西から首都東京を飛び越して世界へ進出している企業が数多くあります。関西出身の東大生が、東大の三鷹国際研修寮で国際人としての一歩を踏み出し、世界を舞台にして自らを錬磨し、その後関西に戻り、関西の、そして望むらくは、延いては日本全体の国際化と活性化に尽力する・・・そのような夢を共に見ようではありませんか。
 
 
関西東大会が三鷹国際研修寮建設のための資金を寄付するという形で、関西から飛び出て世界で戦う若者を、彼らの故郷から一緒に応援しましょう。是非、趣旨にご賛同頂き、日本の未来を一手に背負う後輩たちのためにご寄付を下さるようお願い致します。・・・“小さな一歩、でも大きな一歩”となることを祈って・・・

  
        

以上


 
趣旨にご賛同いただける方は一口一万円として、一口・三口・五口・十口・・・・・・相当分を同封の払込取扱票にて寄付をしてくださいますよう心よりお願いいたします。


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