夏の講演会のご報告

夏の講演会は、3年ぶりにホテルでの開催を計画いたしておりましたが、コロナ第7波の感染急拡大により、大阪府が医療非常事態宣言を出して「7月28日から8月27日まで高齢者に不要不急の外出を控えるよう」求めましたので、やむを得ず、ホテルでの開催を
中止し、オンライン開催といたしました。
以下 当日の記録の担当をしていただきました河崎幹事の原稿をもとに報告いたします。
(講演内容は簡単な抜粋です。ご了承ください。)

 

日 時 : 令和4年(2022年)8月21日(日)
講演会 : 15:00 ~ 17:00 (ZOOMにてご講演)  
講 師 :  横田寛伸 大阪管区気象台長
演 題 : 「宇宙からの気象監視と『ものづくり』」
Zoomにて開催し、38名様に参加していただきました。

 

 

上段左より 夏住副会長(閉会挨拶)

河野代表幹事(司会)

横田大阪管区気象台長(講師)
下段鈴木会長(開会挨拶)

 

気象衛星「ひまわり」の概要
ひまわりの役割として、
・台風観測に代表される防災の役割
・国際気象機関の一翼をになう国際貢献
・航空機や船舶の運航の安全に寄与
があり、30か国がひまわりの映像を利用している。

 

 

 

 

 

「ものづくり」の大きなプロジェクト
現在のひまわりは2機一括整備で製造から運用も含めて850億円、寿命は15年である。
宇宙では修理ができないため、良い部品を選定してくみ上げるなど品質を優先するため、製作期間も5年と長期になり、工程管理に困難を要する。
官民の関係は上下関係ではなく同じ目標に向かってプロジェクトを進める仲間意識が高く、利用者と製作者がパートナーであるという特徴がある。また家族にたいして「ひまわりの仕事をしている」と自慢できることからやりがいを感じやすい。参加する企業からも官民のプロジェクトのなかで好印象を持たれるプロジェクトとなっている。

 

 

これからの「ひまわり」
次のひまわりでは水蒸気情報を三次元でとらえることができるサウンダの測定が可能になる。これによって2022年6月から半日前の予測が可能になった「線状降水帯の予測」については、予測精度を上げていく、目標は市町村単位での予測である。
台風の予想進路の精度も向上することで台風対策を取るべき範囲も詳細になり、さらに経済損失を抑えることができる。

ご講演ののち、質疑応答をチャットで受付けました。皆様から様々な切口のご質問が寄せられ
講師の横田様から、丁寧に詳しくご回答をいただきました。予定時間を若干オーバーして
盛況のうちにオンライン講演会が終了致しました。

 

(上記チャットの画像は、ぼかして掲載しています。)

 

以下質疑応答の抜粋を掲載します。

Q.気温の予想はどのようにおこなわれているのか
A.上空にあげた観測装置からのデータを用いて行っている。冬場の気温は雲の有無で変動するので、精度向上の余地がまだある。

 

Q.経済安全保障の観点から運用はどうなるのか
A. 原則として衛星は平和利用しなくてはならない。静止軌道衛星の場所の確保は、周波数調整しITUで登録が必要であるが、軌道がかぎられているため衛星の場所の確保は取り合いになっている。

 

Q.「ひまわり」次号機は国産になるのか
A.「ひまわり」次号機の製作者は、海外企業を含めた公平な入札で決定するので国産になるとは限らない。

 

Q.プロジェクトのコスト面でどのような問題があるのか
A. コストが計画通りにいかない理由として技術的理由と経済的理由がある。技術的理由としてはプログラムの改修のために計算機更新の必要が生じる場合がある。また経済的理由としては、物価変動や消費税増税などがある。計画時に余裕を見ているが、それでも不足し、追加予算を取ることもある。

 

Q.クラウドファインディングを導入しないのか
A.導入を検討したこともあったが、難しいという結論である。

Q.ひまわりの開発に、中小企業はかかわれないのか
A.人工衛星の開発という一般論での回答になるが、ひまわりのような大規模人工衛星ではなく、小型人工衛星でベンチャー企業が参入してきている。

 

Q.「ひまわり」の寿命はなぜ15年か。その後も利用できないのか。寿命が来たひまわりははどうするのか
A.「ひまわり」の寿命は姿勢制御用の燃料切れの問題、およびセンサーの駆動装置の耐用年数によって定まる。ひまわりは地球を細かくスキャンするため、モーターを細かく動かさなくてはならずモーターが劣化しやすい。寿命が来た「ひまわり」はスペースデブリ化をさけるため、さらに200キロ上空の軌道に乗せる。

 

Q.国際開発については
A.世界気象機関(WMO)を通して行われている

 

Q.(気象庁の業務について)現在地震の対応についてはどのようになっているのか
A.南海トラフ地震は70~80%の確率で発生する。地震の予知は難しいが、発生につながる観測情報はその送信体制が整えられている。大阪管区気象台は気象庁のバックアップの機能を備えている。

 

Q.ひまわりに機能を追加できないか。例えば地球と反対側に宇宙望遠鏡をつけることができないか
A.宇宙望遠鏡については3点の理由から実現は難しい。まずは燃料ノズル側にセンサーを付けられない、つぎに打ち上げ積載容量の制限から難しい、そしてひまわりはたえず振動しているためブレが大きいためである。ただし簡易宇宙線観測センサーなどの簡易センサーを付けた事例はある。

 

Q.民間の気象予報会社との関係はどうなっているのか
A.役割を分担している。全国をカバーする基盤となる予報は気象庁が行い、ピンポイントの予報を民間予報会社が行っている。スーパーコンピューターのデータは民間予報会社に提供している。

 

Q.ひまわりによる上空大気の動きの観測は雲がない場合にはできないのか
A.赤外線画像により暖気の塊の動きから大気の動きを観測できる場合がある。

 

Q.外国との交流は
A.世界気象機関(WMO)を通したものと二国間の関係とに分類される。WMOを通した交流では、アジア地域の主要理事として国際会議などで取りまとめを行っている。二国間の関係では主に東南アジアの国々にたいして、レーダー観測技術やデータ解析技術の技術移転の教育を行っている。

 

Q.カーボンニュートラルについてはどのような取り組みを行っているのか
A.政府によるカーボンニュートラルの取り組みの中で、気象庁は科学的知見の提供で貢献している。IPCCの報告書にあるシナリオに基づいて温暖化予想の結果を提供している。

 

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