東京大学同窓会連合会第4回全国大会 および 赤門学友会第2回代議員会 参加報告
東京大学同窓会連合会の第4回全国大会が、10月18日(金)の夕刻、東京大学発祥の地である神田錦町の学士会館で、また赤門学友会の第2回代議員会が、東京大学第12回ホームカミングデイ当日の10月19日(土)午前、赤門に隣接する伊藤国際学術研究センターで、それぞれ下記の通り開催され、関西東大会を代表して、北 修爾 会長とともに参加して来ましたので報告します。
【東京大学同窓会連合会 第4回 全国大会】
日 時: 2013年10月18日(金) 16:00~20:30
場 所: 千代田区神田錦町3丁目28番 学士会館201号室
(今年ブームとなったテレビドラマ「半沢直樹」で、大和田常務が半沢に土下座するあのクライマックスシーンを撮った取締役会会議室は、この学士会館の202号室と使ったそうです。)
参加者: 地域同窓会等会員21団体60名(関西東大会からは今回2名が参加)
赤門市長会パネル討論会6名、総長他来賓6名、同窓会連合会6名
ほか
[概要]
第Ⅰ部 基調講演とパネリストの講演、およびパネル討論会 16:00~18:00
テーマ :「地方の時代~地方における東大卒業生の役割」
基調講演:西尾 勝 東京大学名誉教授 第30次地方制度調査会会長
講演及びパネリスト:本年結成された赤門市長会メンバーより
① 森 民夫 長岡市長(=全国市長会 会長) ② 石津賢治 北本市長
③ 倉田哲郎 箕面市長 ④ 泉 房穂 明石市長 の4人の現役市長
コーディネーター:江川雅子 東京大学 理事 卒業生室長
基調講演で、日本では嘗て急激な工業化、都市化、人口増、都市圏集中により引き起こされてきた行政サービスの供給不足としての都市問題が、これからは高齢化、少子化、人口減が世界史上に類例のないテンポで進むことで引き起こされる行政サービスの維持・持続の問題になるとの指摘がありました。
日本の人口は、1900年当時約4000万人、1950年に約8000万人、2010年には約1億2000万人ありましたが、これから30年余の間に2000万人以上が減少する、即ち毎年平均で約70万人ずつ減少するという予測になっています。
地方では、高齢者の単身世帯、二人世帯がまばらに存在する中、過疎地域の市町村が、漏れなく行政サービスを提供することは困難になる状況です。「平成の市町村合併」の嵐は、このことが背景にありますが、中途半端に幕引きをされ、「中心市」と周辺町村との広域連携強化についても不安を残しています。
更にこれからの大きな問題は、高度成長期に急速に発展した大都市圏の「郊外市」が直面する二つの課題です。一つは、「郊外市」の人口の高齢化がこれから本格化し、介護サービスや生活保護等の高齢者向け行政サービス費用が急増期を迎えること、もう一つは、昭和30年代以降に急速に住宅地化したための水道管敷設、道路舗装、学校増設等の社会資本が老朽化して、一斉に更新する時期を迎えることです。このことから、これらの「郊外市」が、合併か広域連携かいずれかの道を模索、検討することになるだろうとの指摘でした。
今年結成された赤門市長会は、6月4日時点で43名の会員があり、この中には今回の討論会に出られた泉 房穂 明石市長、倉田哲郎 箕面市長に加え、関西の会員では、宮本和宏 守山市長、藤原保幸 伊丹市長、山下 真 生駒市長、大橋建一 和歌山市長の全部で6名の現役市長がおられます。
基調講演に続き、4人の市長から各市の特徴や市長になった動機、活動の様子、苦労話などが紹介され、パネルディスカッションでは、東大や東大生に対して期待することが議論されました。「東大卒の肩書は、選挙には有利にも不利にも働く。」「東大生の優秀さを堂々と活かすことが大事である。」「朝5時から農家を回った経験で、真のエリートには他人の言うことを聴き取る能力が必要だ。」などの発言は、特に印象に残りました。
泉明石市長からは、「関西東大会に入っていることで、人と人の繋がりが大切だということを実感している。」との発言もありました。


この後18時15分より、有馬朗人 同窓会連合会会長、濱田純一 東大総長をお迎えし、参加者全員が収まっての記念写真撮影がありました。

第Ⅱ部 懇親会 18:30~20:30
大会に続いて、同じ会場で懇親会となりました。有馬会長、濱田総長、パネリスト代表の森 市長、学士会の渡辺幸重事務局長の挨拶があり、今回が初参加の秋田銀杏会の小間会長(11 月設立予定)、島根赤門会の火原彰秀氏(9 月設立)、周南東大会の島津幸男氏、沖縄赤門会の上原昭会長が紹介された後、東京銀杏会の橋本 徹会長が乾杯の音頭を取られ、懇談となりました。余興として、東京銀杏会の瓜生田和孝氏が、自ら作曲の「たたかい野に」を大学基金の上別府 潔氏のギター伴奏で歌われ、更には、小林博重石川銀杏会会員・鉄声会幹事長のエールとリードで「ただひとつ」を参加者全員が肩を組みながら歌い、非常に盛り上がりました。
中締めは、わが関西東大会の北 修爾 会長がされ、来年は10 月17 日(金)に開催予定の旨が告げられて、お開きとなりました。

【赤門学友会 第2回 代議員会】
日 時: 2013年10月19日(土) 10:45~11:45
場 所: 伊藤国際学術研究センター 地下2階伊藤謝恩ホール
参加者: 団体代表/代議員58名、赤門学友会・大学役員等27名
(関西東大会からは今回、北会長とともに2名で参加)
[概要]
まず、赤門学友会の張 富士夫 会長が挨拶に立たれ、赤門学友会の登録団体数は現在230団体を上回り(=在外36団体を含む236団体)、登録者数は11万人(=東京大学の推定存命卒業生20万人の内の約55%)、TFTの登録者は2万5千人超になったとのお話がありました。
続いて濱田総長から、平成27年度に導入する4学期制は、秋入学を諦めたのではなく、むしろ秋入学移行に向けた海外の学事歴と合わせるためのステップで、着任以来進めて来た「森を動かす」という種々の教育改革、教員の意識改革は、着実に前進しており、また卒業生との絆を今後とも強化し、一層大事にしていく旨を力強く語られました。
更に、江川理事からは、赤門学友会の活動報告、活動方針や東京大学の卒業生施策についてのお話と、神澤事務局長からの会員増強の依頼などがあり、その後の質疑応答の中で、大学の前田理事・副学長からは、「東大基金の運用資金は、欧米の大学に比べると今は大変見劣りするが、地域同窓会の第一義は卒業生の親睦で、その力が寄付に繋がるようになれば良い」旨の発言などがありました。
【ホームカミングデイ 特別フォーラム…大学主催】
そのまま引き続き同じ会場で行なわれた第12回東京大学ホームカミングデイの特別フォーラムにも、北会長や、地域同窓会の役員方とともに臨みました。
開式の辞のあと濱田総長が挨拶に立たれ、6年の任期も残り1年半になったが、東京大学の行動シナリオである「FOREST2015」は着実に進んでおり、安田講堂が耐震工事中にもかかわらず今回の会場となった伊藤謝恩ホールが寄付で完成していること、本郷の総合図書館前庭の地下書庫も着工するなど駒場を含めて新たな建物の整備が順次されつつあること、卒業生ネットワーク強化については全国各都道府県に加えてチリやブラジルにも同窓会が出来ること、秋入学を諦めず4学期制を導入すること、更には教育改革の一環として東大が推薦入学を検討することで入試制度が大きく変わる可能性のあること、東大の学生たちが東日本大震災の復興支援で経験したような、精神的・人間的に逞しく鍛えられる機会を今後は各地域同窓会にも頼みたいことなどを、熱く語られました。
続いて、赤門学友会を代表して、張 富士夫会長(トヨタ自動車名誉会長)が、東京大学の在学生、教職員、同窓生を含めたグレイターコミュニティとしての組織である赤門学友会で、新たな会員として赤門市長会が設立されたことなど、会員数の増加と活動成果を紹介されながら、ご挨拶されました。
その後、特別フォーラムとなりました。テーマは、「未知の領域に挑む」でした。テレビのコメンテーターとしてもご活躍中の東京大学大学院法学政治学研究科の藤原帰一教授をモデレーターに、パネリストとして東京大学素粒子物理国際研究センターの田中純一准教授(今年のノーベル物理学賞の受賞対象となった「ヒッグス粒子」発見時の実験解析の責任者)と東京大学大学院医学系研究科の上田泰己教授(体内時計等の生命システムの「時間」や眠りの仕組みを研究)が登壇され、最先端技術分野で世界的に活躍する物理学者と生命科学者とが、自らの研究の成果と研究を進める上で何を考えどのような気持ちで臨んでいるのかを語り、しばしば爆笑もありの大変楽しい講演とパネルトークでした。
素粒子物理学の世界では、17個あるはずの粒子のうちで最後になったヒッグス粒子の発見により、「標準理論」は完成した(17個の素粒子の内の12個は物質を構成する粒子、4個が力を媒介する粒子で、最後のヒッグス粒子は場を提供するような「入れ物」のための粒子)ものの、次には暗黒物質などに係るような、「標準理論を超えた新しい物理」への挑戦が始まると思われるということや、「生命の時間」には、成長・賢くなること・有限の命のように「移りゆく時間」と、地球の公転、自転、四季の中で「繰り返す時間」があるが、この繰り返す時間に対応して脳の奥深くに時計遺伝子に起因する体内時計、体内カレンダーがあってホルモンの分泌等に係っており、その狂いが病(例えば不眠症、うつ、認知症、登校拒否等)の原因にもなることなど、知的な刺激をたっぷり受けることが出来ました。
なお、それぞれ先生方の研究領域、研究内容などに関しては、次の東京大学のホームページをご覧ください。動画を交えて判りやすいものになっています。
⇒ http://hcd2013.todai-alumni.jp/event/forum.html
【その他】
その後は参加者それぞれに、ホームカミングデイのイベントに参加することになりました。私は、北会長とともに、卒業した経済学部の行事である東京大学経友会総会と、吉川 洋教授の「日本経済の現状と課題」と題した講演会を聴講しました。吉川先生のお話は、今の日本で見られる様々な社会的現象を歴史的データや統計グラフで解き明かすもので、生活実感からも腑に落ちるところの多いものでした。日本のデフレーションは名目賃金が上がらない影響が大きいこと、円安はアベノミクスの効果ではなく原発が止まり化石燃料の輸入が増えて貿易収支が大幅赤字になっているためであること、今の社会保障制度を維持するには日本の消費税率は他の先進国に比べても低すぎること、人口とGDPは無関係で人口減少の下でも経済成長は可能であること、バブル崩壊後の日本は余りにコストカットに傾注し過ぎており、新しい需要と経済成長のためにはプロダクトイノベーションが鍵になることなど、マスコミの影響で日ごろ混乱しがちな当たり前のことを、改めて納得したり、整理したりできるものでした。
経済学部長には、3月まで日本銀行の副総裁であった西村淸彦先生が就かれて、吉川先生の講演の裏方を自ら務めながら動き回られるなど、東京大学の経済学部も少し変わりつつあるのかなと、嬉しく感じられる時間でした。
ほかにも、さつき会の講演会である内田麻理香氏の「家事を楽しむ科学の視点!意外なサイエンスの活かし方」や、古川元久氏がキーノートスピーチをしてのワールドカフェ「改めて、国家戦略とは何か、考える」、日本を代表する国際派ビジネスマンの八城政基氏がキーノートスピーチをされた英語によるワールドカフェ・スタイルでのインターナショナル・アラムナイ・フォーラム「日本の経営はなぜ本質的にグローバルになれないのか? 我々にできることとは?」など、各種の魅力的なイベントが行なわれていました。
夕方には、ホームカミングデイに定着して来た感じの『卒業30周年学年会』や『卒業20周年学年会』、昨年から始まった『卒業40周年学年会』、今年から更に『卒業35周年学年会』、『卒業45周年学年会』、『卒業50周年学年会』も加わり、東京大学が会場を提供する卒業生のための催しが一層充実していて、ホームカミングデイがますます活況になってくる印象を持ちました。

