第11回東大ワールドカフェ関西 開催レポート

幹事 小林 良洋(平成21年農)

第11回東大ワールドカフェ関西を下記の通り開催しましたので報告いたします。

日時:平成27年2月21日(土)13:30~17:00
場所:たかつガーデン(上本町)
参加者:14名
主催:関西東大会 協賛:東京大学卒業生室
キーノートスピーカー:梶浦 秀樹氏(株式会社庵)
テーマ:『暮らすように旅をする』日本の美しい暮らしの文化を次世代に引き継ぐために
梶浦氏は、昭和55年に東京大学法学部卒業後、日本国有鉄道に入社し、自治省、親族の小売全国チェーン、西武しんきんキャピタル株式会社などを経て、平成15年末、株式会社庵を設立、代表取締役社長に就任、現在に至る。

<<講演要旨>>
国鉄、自治省で経験する中で、日本には海外の人を受け入れる宿泊の受け皿がないことに気付いた。特に京都は、文化、歴史、伝統工芸など素晴らしいものがあるのに京都らしく泊まれるところが俵屋さん、炭屋さん、柊家さんか、他はビジネスホテルくらいしかなかった。
そこで京町家を使って暮らすように旅をすることはできないかと考え、京都から始めれば、日本各地に残る「美しい日本」を次世代に伝えられるのではないかとの発想を得た。京町家では旅館業法をクリアできないために先輩の副市長(自治省)、国交省、観光産業に関わる同期等を巻き込み定期借家権を活用し、旅館のような一室貸しから一棟貸しから始めた。昔の儘の京町家の設いでは住み心地の良さを得られないことから居心地の良い京町家づくりを目指し、いいものはいいと分かる客が泊まるように価格は高めに設定した。その結果、貸家のセキュリティは高まり、いい口コミが広がっていった。
また伝統文化研修・体験プログラムを組み、お稽古ごとの体験や伝統工芸、社寺の特別参拝を楽しめるようにしている。食事は、まだ京都には仕出しの文化が残っている他、おいしい洋食というものが残っており、その価格も東京の1/3程度であることが魅力である。
この京都モデル事業を地域プロデュース事業へと展開していく訳であるが、地方では市町村を動かし、国の補助金を使ってプロデュースしている。早くて1~2年、全部で5~6年、時間はかかるが、20~30年先を見て仕事をしている。
茅葺の民家が殆ど土産物屋化している会津大内宿の場合、入込客数1百万人×客単価1千円の立ち寄り型観光の潜在経済力を入込客数10千人×客単価100千円の滞在体験型観光へ転換していこうとしている。客単価が上がるといい物はいいと分かる人が来ることになり、まちは美しくなる。しかし誰でもいいから来てもらおうとするからまちが汚れる。
八百万の神々の国、現存する最古の王朝がある国、おもてなしの心のある国を活かすには滞在体験型観光のしっかりした受け入れ態勢が必要となる。旅先の決定は、口コミが30%であることから、しっかりしたマーケティングが必要で若い人にリーチしてイイネをもらうことが大切である。
観光は海外もマス大量消費型旅行と気ままな個人旅行に2極化されている。観光産業で地方再生するにはいいものはいいと分かる世界の富裕層に、日本各地に残っている美しい風景を観てもらい、地産地消の安全で美味しい食事をしてもらい、地域の歴史、文化、伝統に触れるもらうことにより、いい評価をもらい、地域の暮らしが再生する全うな対価を払ってもらうことが大事だ。時間はかかるがやらなければならないことだと考えている。

講演では梶浦氏が自らの経験や大学のネットワークを活かし、「日本の地方に残る美しい暮らしの文化を次世代に引き継ぐ」という目標を実現するための戦略・戦術が明らかにされ、思わずこれは実現すると思わざるを得ない魅力のあるプレゼンテーションでした。また富裕層をターゲットに廃れ往く昔当たり前にやっていた生活文化を正しく評価してもらい、全うな対価を得て地域を再生しようする事業手法には目から鱗が落ちる思いでした。
講演の後は「地域に残る美しい暮らしの文化を知っていますか?」「日本の観光産業に不足するものは何でしょうか?」「インバウンドをはじめ、これからの日本の観光支える人材はどう見つけ、どう育成したらいいでしょうか?」の3つのテーマについて参加者間で意見を交換しました。参加者は、氏が提案する「暮らすように旅をする」という新しい旅のあり方から我が国の文化、歴史、伝統を見直し、我が国の観光産業のあり方について考える良い機会になったことと思います。
そしてキーノートスピーチとワールドカフェの後は、いつものように懇親会会場に移動して、食事をしながら世代を超えた交流を深めました。今後も魅力的なキーノートスピーカーと興味深いテーブルテーマで卒業生のネットワークを広げていきたいと思います!
 

以上

関西東大会のホームページへ