大阪京大クラブ 平成24年10月 第9回懇話会 参加報告

代表幹事 日笠 賢(昭55経)

掲題会が下記の要領にて開催され、参加して来ましたので報告します。

日 時:2012年10月10日(水)17:30~19:30

場 所:(社)中央電気倶楽部3階食堂
講 演:五百旗頭 真(いおきべ まこと)氏(熊本県立大学理事長、公益財団法人 ひょうご震災記念21世紀研究機構 理事長)
演 題:「大震災とその復興」
出席者:52名
【懇話会】
9月の総会で新たに就任された高月 清会長(元北野病院長)から、10月8日に伝えられた京都大学iPS細胞研究所の山中伸弥教授に対する2012年ノーベル生理学・医学賞授与へのお祝いメッセージと、2010年7月に山中伸弥先生が大阪京大クラブで講演会をされた折の思い出(この時は関西東大会から日笠を含めて8名が参加)などのお話がありました。
http://blog.kansaitodaikai.main.jp/?eid=1395325
また、司会者から11月10日(土)に予定されている第7回京都大学ホームカミングデイ(講演会はジャーナリストの鳥越俊太郎氏の予定)への参加要請などが伝えられました。
【講演会: 五百旗頭 真 氏】
五百旗頭 真氏は、1943年生まれで1967年に京都大学法学部卒、神戸大学名誉教授です。現在は公立大学法人熊本県立大学理事長、公益財団法人ひょうご震災記念21世紀研究機構 理事長をされていますが、2007年には防衛大学校長、2011年4月からは東日本大震災復興構想会議の議長、また2012年2月には創設された復興推進委員会委員長を務められたので、そのお姿はマスコミ等を通じて大変よく知られている方です。
ご専門分野は「日本政治外交史、政策過程論、日米関係論」ということですが、今回のご講演では「大震災とその復興」と題して、昨年起きた東日本大震災について、関東大震災や阪神・淡路大震災との比較や特徴、更には今後の課題等を様々な角度からお話されました。
要点としては、(・・・私なりの解釈をしていますので、誤解があればお許しください。)
〈この列島の住人の伝統的な生き方〉
・西欧文明の様に石の家で自然を遮断して生きるのと異なり、この列島に住む日本人は、自然と共生して豊かな恵みの中で生きるという生き方をして来た。台風一過、津波一過という言葉があるように、時に暴虐な大自然に対して、首をすくめてやり過ごし、同じ所に同じ家を再建して、次にやられるまでは自然の恵みを充分受けるという生き方をして来た。
・その中にあって、砂丘プラス貞山堀(伊達政宗が仙台開府のときに始めたといわれる)など治山治水の伝統が引き継がれてきた。(但し、この貞山堀については、東日本大震災による大津波では正面を防ぐ機能を果たしたものの、近隣の住宅開発が進んだことで横から津波を受けることになり、折角の先人の知恵も虚しく、大きな被害を受けることになった。)
〈東日本大震災とその復興の特徴〉・・・五百旗頭先生にいただいた下記の資料をご参照
・震度7の栗原市では死者は無く、上下10本が走行していた新幹線は安全に停止しており、これらの点では、大地震は強いことを示した。
・他方、大津波に対しては弱さを見せたが、それでも20万人以上亡くなったスマトラ地震に比べて死者が2万人弱であったことは、ソフト面で「津波テンデンコ」等の教育の効果があったといえる。(明治28年の三陸津波では、児童生徒は数千人が亡くなった。)
・東日本大震災では職を失う人が多くいて、それが人口減少へ繋がっており、神戸のように大企業が雇用については継続をできた阪神淡路大震災との違いになっている。


〈今後の課題〉
1.まちづくり合意をいかに支えるか
・300以上の地区が高台移転を本格化させる状況の中で、集団移転促進法では、国が3/4負担で地元が1/4負担としているものの、地方ではこの1/4の負担がし切れない。国が100%持つことの検討が必要ではないか。
・阪神淡路大震災の時には、「国費を使うのは従前に戻すまでで、焼け太りは許さない」という「後藤田ドクトリン」のために、神戸港は大型埠頭化するチャンスを失い、その後の国際競争に敗れ、衰退に歯止めが掛からない状況になった。一見合理的に見えて、実は不合理になることがある。
・「特区」の手法を使うなどして、東北を「復旧」に留まらせず、日本の復興の先端にするような「創造的復興」の意識があっても良いのではないか。
2.ガレキの有効利用
・ガレキで、「鎮魂の森」、「希望の丘」をつくることを考えるべきである。
3.次なる大地震(貞観地震後の悪夢のシナリオ)にいかに備えるか
・予算の確保、広域連合の強化、米軍の支援確保、自衛隊はじめ安全のための第一線機関の強化など。
・津波に対しては「防災」でなく「減災」の概念で、多重防御対応することが重要である。
 【感想】
・講演の締めくくりで、五百旗頭先生が口にされた、「貞観地震後の悪夢のシナリオ」(=平安時代の西暦869年にあった貞観地震は、陸奥国東方沖の海底を震源域として発生したと推定される巨大地震で、地震規模は少なくともマグニチュード8.3以上であったとされ、地震に伴い発生した津波の被害は、東日本大震災同様に甚大であった。その前後には、貞観6年(864年)の富士山貞観大噴火や貞観10年(868年)の播磨地震(山崎断層を震源とする地震)、元慶2年(878年)の伊勢原断層の活動または相模トラフのプレート間地震とも推定されるM 7.4の相模・武蔵地震(現在の関東地方の地震)が発生など、日本各地での内陸地震が頻発しており、18年後の仁和3年(887年)8月の南海、東南海地震で収束した。)のお話から、「今回の東日本大震災で、一段落と思っている専門家は、ひとりもおりません。」と、まだこれからも大きな災害が続く可能性を示唆されました。
・私達が生きている今日現在は、五百旗頭先生が言われるように、阪神淡路大震災(1995年1月M7.3)でスタートの号砲が鳴り、鳥取県西部地震(2000年10月M7.3)、新潟県中越地震(2004年10月M6.8)、能登半島地震(2007年3月M6.9)、新潟県中越沖地震(2007年7月M6.8)、岩手・宮城内陸地震(2008年6月M7.2)、東日本大震災(2011年3月M9.0)、・・・、・・・と続く、1000年に一度の地震の活性期に巡り合わせた時代なのかもしれないと、空恐ろしい気持ちになって帰宅した講演会でした。

以上


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