関西東大会12月例会講演会 参加報告
s40養 寺田雄一
12月例会は、アイルランド文学講座として、京大名誉教授の佐野哲郎先生から、「アイルランドの神話―キリスト教との出会いは何をもたらしたか」と題する講演をいただいた。詳細なレジメと、先生が現地で撮影されたスライドを使って、約30人の出席者に、1時間半の講演をされた後、30分の質疑応答の予定であったが、出席者からの熱心な質問が続出して、予定の時間を10分以上オーバーするほどの盛況であった。
(講演内容)
(1) アイルランド人のルーツは、従来、ケルト又はガリアと呼ばれ、大陸から渡来したとされているが、最近の考古学の成果により、従来の定説は疑問視されるようになった。ただし、この説も定説には至っていない。
(2) アイルランドの宗教は、従来、輪廻転生を唱える、自然信仰的なドルイドが支配的であったが、5世紀頃キリスト教化した。その中心人物がセント・パトリックで、その時期は、神聖な場所とされるタラの丘で、ドルイドの魔法を破ってからで、その後、アイルランドは、12世紀にイギリスの属国となった後も、16世紀の英国国教化にも染まらず、18世紀の大弾圧にも耐えて、頑なにカトリックを守り通し、現在でも、国民の95%がカトリックとなっている。
(3) キリスト教はまた、それまで文字のなかったアイルランドに文字の使用を教え、以後、神話、伝説等を記録した書物が作られるようになった。先生からは、見事な装飾本となっているいくつかの代表的な書物がスライドで紹介された。
(4) 文字を知ったことにより、中世以来、「ケルズの書」レンスター書」「アイルランド侵攻の書」などが書かれ、アイルランドの歴史、神話、地名の由来などを現在に残している。
(5) 佐野先生は、推理小説の祖とされる、E.A.Poe に関心を持ち、そこから、Yatesを
知って、更にアイルランドとその文学に関心を広められた由で、何年か前には、アイルランドにも足を運び、今回の講演で、その時撮影されたスライドを数多く紹介された。


